さるとつぶ
春、ポカポカとぬくい日のことだ。 桜の花もあっちこっちさ咲きはじめた 頃の話だ。 東の方の山はあひら山、西の方の山 は三角山(うるびら山)があった。その 三角山のほうの話だ。 三角山の木のまっかさ、サルが腰か げで、おじじがねぇ様子で キョロキョロ あっち見、こっち見して えだけどな。 つぶはつぶで、山のふもどの田のくろ さ上がって、山の上のサルを見つけで、 おたがいジーとにらめっこしてえだけど 。 つぶはゆったけど、 「えっつも えっつも いたずらするサルめ ぇ!」 と、 「サル、サル、三角山のコノハザル、ケ ッチの赤いもおかしかるらん」 と、大っきい声で叫んだど。 なにをこのがぎ!とサルはつらを真っ 赤にして、 「つぶつぶと、つぶ田ヶ原のゴミかぶり、 ケッチのまがたもおかしかるらん」 と、二度も繰り返してゆったんだど。 そして、 「この野郎ふみつぶしてけるぞー」 と、山よりどんどんおれできたけど。 んだども、ケッツの赤いサルが来るこ ろには、とっくにゴミの中にもぐり、かぐ れでしまたけど。 サルがおれできたどぎゃ、つぶは、ゴミ の中で、 「どうだサル、まいったが・・・」 と、ニヤニヤわらってえだけど。 サルはカッとなり、赤いつらをますます 真っ赤にして、 「がぎつぶ、どごさえった」 と、田のくろ踏み上げたり、蹴ったりして みだが、つぶはどっからも出てこねぇが ったど。 「この次会ったら、ババーンと、やっつ けでやる」 と、つらもケッチも真っ赤にして山の上 さ、上がってえったけど。 トッピンパラリのピーだ |
春、ポカポカと暖かい日のことです。 桜の花もあちこちで咲き始めた頃の 話です。 東の方の山はあひら山、西の方の山 は三角山(うるびら山)がありました。そ の三角山のほうの話です。 三角山の木の枝に、サルが腰をかけ て、落ち着かない様子でキョロキョロと あっちを見たり、こっちを見たりしていま した。 タニシはタニシで、山の麓の田んぼの 畦で、山の上のサルを見つけて、お互 いにジーとにらめっこをしていました。 タニシは言いました。 「いつも、いつも、いたずらをするサル め!」 と、 「サル、サル、三角山のコノハザル、お 尻の赤いもおかしかるらん」 と、大きい声で叫びました。 なにをこのガキ!と、サルは顔を真っ 赤にして、 「つぶつぶと、つぶ田ヶ原のゴミかぶり、 お尻の曲がったのもおかしかるらん」 と、二度も繰り返して言いました。 そして、 「この野郎、ふみつぶしてやるぞー」 と、山から ドンドンと降りてきました。 けれど、お尻の赤いサルが来る頃に は、(タニシは)とうにゴミの中にもぐって 隠れてしまいました。 サルが下ってきた時には、タニシは、ゴ ミの中で、 「どうだサル、まいったか」 と、ニヤニヤ笑っていました。 サルはカッとなって、赤い顔をますます 真っ赤にして、 「ガキタニシめ、どこにいった」 と、田んぼの畦を踏み上げたり、蹴った りしてみましたが、タニシはどこからも出 てきませんでした。 「この次会ったら、ババーンとやっつけ てやる」 と、顔もお尻も真っ赤にして、山の上に 上がっていきました。 トッピンパラリのピーだ |
鈴木ジュン子さん
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