ねずみの餅つき
昔々あるどごさ、じさまとばさまがい だけど。 ある日じさまが庭 はいでだば 豆っこ一つおじでだけど、 「この豆っこ拾って、ばさまど二人であ ぶて食うべな」と 思ったば、豆っこコロコロど転がって ねずみ穴さおじでしまったけど。 じさま、あぎらめで まだ庭 はぎ始め だど。 そしたば 「じさまじさま、さきだ豆っこもらってあ りがど」 じさま、なんだがどごかで声するな、と 思ってあだりみだば ねずみっこ穴こが ら、ちょこんとつら出して 「豆のお礼に俺たちの家さごちそうし でぇがら きてけねが」 「ああ ええ」 「したら おれのおぱこさ、ジッタリつ かまって、まなぐ びっちりつぶって、お れええって言うまで ぜったい まなぐあ がねでけれな」 じさまねずみの言うとおりにしてえだ ば 「まなぐ あえでええよ」 そう言われてまなぐあげだば、そりゃ そりゃ広い座敷でねずみ達ごちそういっ ぺえ作って、じさまの来るの を待って だけど。 そしてこんどは 「餅つぎするがら、じさま ねごの声た げ、ぜったいしねでけれな」 「はいはい ぜったいしねがら安心し てけれ」 そしたば、ねずみ達ぁ、唄っこ唄いな がら餅つぎ始めだけど。 ♪ あぁ コッカラ コッカラ コッカラ だ、 猫へゃで こねば オラ ミヨァ ミヨダ コラ スコカン スコカン♪ そして じさま腹いっぺぇ ごちそうに なって、唄ったり、踊ったりして、 「沢山ごちそうなって、まんずまんず ばさまも待っていることだし、家さ えぐ べ」 そしたばねずみ達がら宝物いっぺぇ 貰ったけど。 次の朝 ばさまど部屋中ひろげで喜ん でだどごさ、となりのヒクヒクババコ 「やあやあ 火コけでけれ」 と 火種コ貰いに来て、その宝の山見 でびっくりして、 「昨日まで おらえどおなじだけあ、な じで そただに おやがたしゅになった べ」 「コレコレこうであったど・・・」 「んだば おらえのじんじぁどこも そう させるべぇ」 と 早速家さ帰って 無理やり ねず み穴さ 豆こ入れでやったけど。 そしたばやっぱりねずみこ出てきて 「じさじさ 豆っこいっぺえ貰ってありが ど、じささ ごちそうするがら、おれの尾 っぱさつかまって目開けだってえって言 うまで開けねでけれな」 「ハイハイ ぜったい開げねがら」 といったのも、何としても開けで見でぇ と思ったどもやっと我慢したけど。 「目開げでもええよ」 広い座敷でごちそういっぺえ並べで じさまのくるのを待ってだけど。 そして 「餅つぎするがら 猫のまねだげぁ ぜったい しねでけれな」 「ハイハイ」 そして また ねずみ達唄っこ唄いな がら、餅つぎ始めだけど ♪ あぁ コッカラ コッカラ コッカラだ 猫へぇで 来ねば オラ ミヨ ミヨダ・・・。 そしたば じんじぁ 猫のまねしてみだ くなって 「ニャオ ニャオ ニャオ」 って言ってしまたど。 そしたば、ねずみ達びっくりして 明か りこ みんな消して逃げてしまたど。 まっ暗だどごさ 一人残されて困って しまったけど、なんぼ大声あげでも泣い でも誰も出て来ねで 「ワンワン」泣きだしたけど。 ヒクヒクババコ、じんじぁ 宝物いっぺ ぇ貰って来ると思って、家の中の物みん な焼いでしまって腰巻き一つで待って、 じんじの泣く声聞いで 「ああ じんじぁだ宝物いっぺぇ貰って 唄っこ唄ってだ音する。」 なんぼ待ってだのも さっぱり帰って 来ねぇどて、よくよく聞いたば 唄っこで なぐ泣き声だけど。 ばんばぁ 鍬もって来て庭掘ったば、 じんじぁなのなじきさ鍬ささって血だらだ ら涙だらだら 家の物焼いでしまたべし 、宝物どごでなぐ何んにもなぐしてしまっ たけど。 トッピンパラリノプー |
昔々あるところ、おじいさんとおばあ さんがいました。 ある日おじいさんが庭を掃いていたら 、豆が一つ落ちていました。 「この豆を拾って、おばあさんと二人で あぶって食べよう」 と思ったら、豆はコロコロと転がって、ね ずみの穴に落ちました。 おじいさんはあきらめて、また庭を掃 き始めました。 そしたら 「おじいさん、さっきは豆を貰ってあり がとう」 おじいさんは、なんだかどこかで声が するな、と思ってあたりを見たら、ねず みが穴からチョコンと顔を出して 「豆のお礼にごちそうしたいので、ぼく たちの家に来てくれませんか」 「ああ いいよ」 「そしたら、ぼくのシッポにしっかりつ かまって、目をしっかりつむって、ぼくが いいって言うまで、絶対目を開けないで ネ」 おじいさんがねずみの言うとおりにし ていたら 「目をあけていいよ」 そう言われて目を開いたら、それはそ れは広い座敷でねずみ達がごちそうを いっぱい作って、おじいさんの来るのを 待っていました。 そしてこんどは 「餅つきをするから、おじいさん猫の声 だけ絶対しないでネ」 「はいはい ぜったいしないから安心 しておくれ」 そうしたら、ねずみ達は唄を歌いなが ら餅つきを始めました。 ♪ あぁ ここから ここから ここからだ 猫さえ来なければ ぼくたちの世の中だ コラ スコカン スコカン♪ そして おじいさんはおなかいっぱい ごちそうになって、歌ったり踊ったりして 「たくさんごちそうになったし、おばあさ んも待っているから家に帰ることにしよ う」 そしたらねずみ達から宝物をいっぱい 貰いました。 次の朝、おばあさんと部屋中に広げて 喜んでるところに、隣のヒクヒクばあさんが 「やあやあ、火をくれ」 と、火種を貰いに来て、その宝を見て びっくりして、 「昨日まで うちと同じだったのに ど うしてそんなに金持ちになったんだい」 「コレコレこうだったんです・・」と話すと 「それなら うちのじいさんもそうさせよ う」 と、早速家に帰って無理やりねずみの 穴に豆を入れました。 そしたら、やっぱりねずみが出てきて 「じいさんじいさん豆いっぱい貰ってあ りがとう。じいさんにごちそうするから、 ぼくのシッポにつかまって、目を開けて もいいと言うまで開けないでネ」 「ハイハイ ぜったい開けないヨ」 といったものの、どうしても開けて見た いと思ったけど、やっと我慢しました。 「目を開けてもいいヨ」 広い座敷でごちそうをいっぱい並べて じいさんを待っていました。 そして 「餅つきをするから、猫のまねだけは ぜったいしないでネ」 「ハイハイ」 そしてまた、ねずみ達は唄を歌いなが ら、餅つきを始めました。 ♪ あぁ コッカラ コッカラ コッカラだ 猫さえ来なきゃ オラミヨ ミヨダ・・ そしたら、じいさんは猫のまねをしたく なって 「ニャオ ニャオ」 と言ってしまいました。 すると、ねずみ達は驚いて、明かりを みんな消して逃げてしまいました。 真っ暗なところに、一人残されて困っ たけど、いくら大声をあげても誰も出て こないので 「ワンワン」泣き出しました。 ヒクヒクばあさんは、じいさんが宝物を いっぱい貰って来ると思って、家の中の 物をみんな燃やしてしまって 腰巻き一 つで待っていて、 じいさんの泣く声を聞いて 「ああ じいさんが宝物をいっぱい貰っ て、唄を歌っている音がする」 いくら待ってもさっぱり帰って来なくて、 よくよく聞いたら唄でなく泣き声でした。 ばあさんが 鍬をもってきて庭を掘っ たら、じいさんの額に鍬が刺さって、血 と涙でだらだらになりました。 家の物は焼いてしまったし、宝物どこ ろじゃなくみんな 無くしてしまいました。 とっぴんぱらりのぷー |
本間智佐子さん
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