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〒019-0803
秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字堤31-2
まるごと自然館
TEL:0182-47-2362

東成瀬の昔っ子

スズメの仇討ち

 昔、昔、その昔のことだ。

 柳にスズメが巣を作って、チュンチュ
ン鳴いでえだけ ど。
 そごさ、やまんばがやってきて、
 「スズメ、スズメ。おれさ、そごさある卵
けろ」ど、言ったど。したば、スズメぁ
 「いだましくて、けられねぇ」
 「んだば おめぇどご、飲むぞ」
 と、言ったなで、いだましがったのも、
一つやったど。
 山んばは、
 「なに、ひとつーこれなば、片方の手
にも 足りねぇ、もう一つけろ」
 と、言ったけど。
 スズメはいだましがったが、まだ、一
つやったど。その卵取りぱずして、馬の
クソさ落どしてしまったど。
 まぁだ、山んばは、
 「馬のクソさ落どしてかれねぇ、もう一
つけろ」
 と次々と取りあげだど。 
 「あとねぇ」と言ったば、
 「んだば、んがどご飲んでけるぞ」
と言って、親スズメまで喰ってしまたど。


 その馬クソに落ちだ卵から生まれたス
ズメは、三年後に仇討ちしに、山んばの
いる山に向かったど。

 途中、ビタビタとビタクソがきて、
 「スズメ、スズメ、どごさえぐ」と、聞い
たば、
 「三年前の親の仇とりにえぐ」と、言っ
たど。
 次にまだ、そごさ、まっかだんぶりも来
て、同じごどを聞いだど。
 そして、まかまかビッタ、まかビッタ、
チュンチュンと歩いていると、針・うす・ト
ヂ・ハチ・ヘビも集まってきて一緒に仇
討ちに行ったど。

 したば、山んば留守だけど。
 そこで、みんなで相談して、ヘビは味
噌ガメに入り、トヂは囲炉裏に入り、ハ
チは裏口、まっかだんぶりとビタクソは
入口、針は寝床に入り、うすは張りの上
にえで、山んばの来るのを待ってだどう
ー。

 しばらぐ待っていたば、そごさ 山んば
がきて、
 「さんび、さんび、からさんび。上から
山かぜ吹いてくる。あぁさんび、さんび」
 と、囲炉裏の火をボリボリほって、尻
を出すど、トヂがバチンとはじけだど。
 
山んばは、
 「あや熱ちでぁ、熱ちでぁ、こんたじぎ
ゃ味噌つければいいもんだ」
 と、味噌ガメさ手をつっこんだど。
 したば、カメの中で待ってだヘビぁ、ガ
チッとかぶりついだど。
 「あや いでぇ、いでぇでぇ、こんたじぎ
ゃ 寝るしかねぇべぇ」
 と、寝床さ走ってえて寝たば、こんだぁ
、針が体中ヂグモグと刺したけど。
 とでも、痛でぇくて寝でられねぇくて、裏
口さ逃げるどていったど。
 
裏口さ行ったば、ハチが待ってで、あ
っちこっち体中刺されだど。
 「あや、いでで・・・」
 と、逃げまわってるど、ビダクソに足を
すべらしぇで、ゴロンと、ころんだど。
 そしたば、その上さ、ちょうどえぐ 張
りの上のほうがら、ゴロゴロドスンと、う
すが落ぢできて、山んばの体の上さ、ド
サッと のさったけど。
 山んばは、体も動けねぇば、声もでね
ぇでえだば、そごさ、まっかだんぶりが
やって来て、山んばの首をギューとおさ
えだど。

 山んばは
 「ごめんしてけろー、ごめんしてけろー
」と、なんども、なんども泣きながらいっ
たけど。

 山んばは、今度から悪いごどしねぇっ
て、みんなさ約束したど。
 親の仇をとってもらったスズメは、助
けでもらったみんなさ、礼をいって帰っ
たど。

       とっぴんぱらりのぴーの
       さんしょうの実っこぱらり
   昔、昔、その昔のことです。

 柳にスズメが巣を作って、チュンチュ
ン鳴いていました。
 そこに山から山姥がやってきて、
 「スズメ、スズメ。おれにそこにある卵
をくれ」と言いました。すると、スズメは、
 「大事だから、あげられません。」と言
ったら
 「それなら、おまえを飲むぞ」
 と言ったので、大事でしたけど、一つ
やりました。
 山姥は
 「なに、一つ---これじゃぁ、片方の手
にも足りない。もう一つよこせ」
 と、言いました。
 スズメは大事でしたが、また一つやり
ました。その卵を取り損ねて、馬の糞の
上に落としました。
 また、山姥は、
 「馬の糞に落としたから喰われない、
もう一つよこせ」
  と、次々と取り上げました。
 「もう、ありません」と言うと
 「それなら、おまえを飲んでやる。」
と言って、親スズメまで喰ってしまいまい
た。

 その馬の糞に落ちた卵から生まれた
スズメは、三年後に仇討ちをしに山姥
のいる山に向かいました。

 途中、ビタビタと糞(フン)がきて、
 「スズメ、どこへいくんだ?」と聞くと
 「三年前の親の仇を討ちにいきます。
」と言いました。
 次に、そこに木の又(マタ)も来て、同じ
ことを聞きました。
 そして、スズメ達は、まかまかビッタ、
まかビッタ、チュンチュンと歩いていると
、針(ハリ)・臼(ウス)・栃(トチ)の実・蜂(ハ
チ)・蛇(ヘビ)も集まってきて一緒に仇討
ちに行きました。

 そうしたら、山姥は留守でした。
 そこで、みんなで相談して、ヘビは味
噌のかめに入り、トチは囲炉裏に入り、
ハチは裏口、木の又とフンは入口、針
は寝床に入り、ウスは梁の上にいて、
山姥の来るのを待っていました----。

 しばらく待っていたら、そこに山姥がき
て、
 「寒い、寒い---上から山かぜが吹い
てくる。あぁ寒い、寒い」
 と、囲炉裏の火を掘り起こして、お尻
を出すと、トチがバチンとはじけました。

 山姥は、
 「うわぁ熱い、熱い、こんなときは味噌をつければいいんだ。」
 と、味噌のかめに手を突っ込みました
。そしたら、かめの中で待っていたヘビ
はガチッと噛み付きました。
 「うわぁ痛い、痛い、こんなときは眠る
しかないな」
 と寝床に走っていって寝たら、今度は
、針が体中チクチクと刺しました。
 とても痛くて寝ていられないので、裏
口に逃げようとしました。
 
裏口に行ったら、ハチが待っていて、
あちこち体中刺されました。
 「うわぁ、痛てて---」
 と、逃げ回っていると、フンに足をすべ
らせて、ゴロンと転びました。
 そうしたら、その上に、ちょうどよく、梁
の上からゴロゴロドスンとウスが落ちて
きて、山姥の体の上にドッサリと乗りま
した。
 山姥は、身体も動かなければ、声も出
ないでいると、そこに、木のマタがやっ
て来て、山んばの首をギューと押さえま
した。

 山姥は
 「許してくれ---許してくれ---]
 と、何度も何度も、泣きながら言いま
した。

 山姥は、今度から悪い事はしないと、
皆に約束しました。
 親の仇を討ってもらったスズメは助け
てくれた皆に、お礼を言って帰りました。

   とっぴんぱらりのぴーの
   さんしょうの実っこぱらり

備前ムツさん

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