坊主とムジナ
昔、ある山のふもとさ、小さな村があ ったど。 村の畑さ、毎晩のようにムジナが出て 作物にいたずらしてえだんだど。 みんな困ってえだば、独りのじいさま が、 「裏の山さえぐど、大きい穴あるんべ、 あっこさ かぐれでるべぇおん。えぶしか げでみるべや」 と、口出したど。 それで、その入口さ、みなして、杉の 葉や草、しばを集めで、それに火つけで 、モーモーどえぶしたど。 したば、おぐの方から何かゴソゴソ音 がして、ゴホッゴホッと大っきいセギして 、何か出てきたど。 「ほれ、ムジナだ、つかまえろ」 と、よく見るど、 黒衣を着た大っきい坊主が風呂敷づ つみを背負って穴がらでて来たけど。 「ああ、苦しがった。旅の途中で穴め っけで、一眠りしてたば、えぶしかげられで、なんたら苦しがったて」 と、ブツブツ言ってだけど。 みんなどでんして、 「あや しかだねぇがったなや、あんま りムジナぁいだずらするなで、捕ろがど て---。悪りいがった。ごめんしてけろ」 ど、あやまったど。 坊主はなにやら小言を言いながら、ど っかへ行ってしまったけど。 みんながっかりして 「ああ、あ、こごにゃいねぇがったんだ 」 と、話しているど、遠くのほうで、あの坊 主大きな風呂敷包みの中がら、ムジナ の子っこ五・六匹出してワイワイ言いな がら遊び出したど。 みんなどでんして 「やられだ---」 と、口を開いで見でるしかねぇがったど ---。 トッピンパラリのプー |
昔、ある山のふもとに小さな村があ りました。 村の畑に、毎晩のようにムジナが出て 来て、作物に悪さしていました。 みんなが困っていると、一人のおじい さんが、 「裏の山に行くと、大きい穴がある。あ そこに隠れているだろう。煙でいぶして みよう。」 と、口を出しました。 それで、その入口にみんなで杉の葉 や草や柴を集めて、それに火をつけて 、モーモーといぶしました。 そうすると、奥のほうから何かゴソゴソ と音がして、ゴホッゴホッと大きい咳をし て、何かが出てきました。 「それーッ ムジナだ、つかまえろ」 と、よく見ると、 黒衣を来た大きいお坊さんが、風呂敷 包みを背負って、穴から出てきました。 「ああ、苦しかった。旅の途中で穴を 見つけて、一眠りしていたら、いぶしだ されて、何とも苦しかったよ」 と、ブツブツ言いました。 みんなは驚いて、 「これは、すみませんでした。あんまりムジナが悪さをするので、捕まえようとして・・申し訳ありませんでした。許してください。」 と、あやまりました。 お坊さんはなにやら小言を言いながら、どこかへ行ってしまいました。 みんなはがっかりして 「あーぁ、ここにはいなかったんだ」 と、話していると、遠くのほうで、あのお 坊さんが、大きな風呂敷包みの中から 、ムジナの子どもを五・六匹出してワイ ワイ言いながら遊びだしました。 みんなはびっくりして 「やられた---] と、口を開いて見ているしかありませ んでした。 トッピンパラリのプー |
佐藤洋子さん
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