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〒019-0803
秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字堤31-2
まるごと自然館
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東成瀬の昔っこ

だんご だんご

昔、むかし、ばっぱと太郎というわらし、えだけど。
 
おどもあばも 外さ稼ぎに行ったなで、ばっぱ えどごろ かだづげだり、掃いだりしてだどごさ、太郎来て、ばっぱなの腰や足もどさ、なっつぁがってくるなで、
「なんたて、せわしねぇたらなあ 太郎。びゃっこ 隣のばっぱさ 遊びにえてこえ」
って言ったら、さぁ、その太郎喜んで、えがったどて、隣のばっぱさ えったけど。
 
「ばっぱぁ、ばっぱぁ、遊びに来た」
って言ったら
「あやあや、太郎。えぐ来たな。まんず、ひゃってこえ、ひゃてこえ」
と、ばっぱの声したけど。

太郎がひゃてえたら、
「太郎来るがどて、まぢでえだなだよ。これ食え」
と言って『だんご』 こしゃだな 食わせだけど。
したば太郎、
「んみゃ んみゃ」ってむしゃむしゃ食ったけど。
「おらも 家さえって、ばっぱがら こしゃでもらて食う。なんていうものだべ、ばっぱ」
と太郎聞いだら、
「『だんご』っていうもんだ、太郎」
って おせだけど。

みんな だんご食いあげだおんだがら、
「だんご、だんご」って、わえのばっぱがら こしゃでもらって食べでど思って、忘れねように言いながら 出はってきたけど。
 
隣と わえの間に せぎがあって、そのせぎ まだがねで 回り道して歩くなだ。ほんとはな。
早ぐ えさ えってばっぱがら だんご こしゃでもらって食うべ ど 思って
「だんご、だんご、だんご」
って言って来て、せぎまだぐ、そのどぎ
「せんとこ」って
言ってしまたけど。
 
それで、こんだな
「せんとこ、せんとこ」
って えさ ひゃってえて
「ばっぱ、『せんとこ』 こしゃでけれ」
「何でが太郎、『せんとこ』ってなえだ。ばっぱ わがらね」
「『せんとこ』よ ばっぱ。隣のばっぱこしゃで食わしぇだな  うめぇけ」
って言ってだけど。
 
三尺の四角いいろりの上のカギなわさ たごじで、ぶらぶらしながら、大きい声で
「ばっぱぁ、『せんとこ』こしゃで食わせろー」
って せがんでいるうぢに、手はなれで いろりのむごうさ える ばっぱの なじぎさ「ばしーん」といろりのカネのカギ
ぁぶつかったど。
ばっぱ、
「あやぁ いでで 太郎や、
なじぎさ だんごみでた こぶ でぎだ」
と言ったけど。

「あーあ、んだんだ、ばっぱ だんごだ、だんごだ、だんご こしゃでけろ」
って言ったけど。

  さんしょ 食でぇがら 山さ行げ
  にんにく 食でがら 八木さ行け
     トッピンパラリのプー

  昔々、お婆さんと太郎という子どもがいました。

お父さんもお母さんも 外に仕事に行ったので、お婆さんが居間を片づけたり、掃いたりしているところに、太郎が来て、お婆さんの腰や足元にぶらさがるので
「なんたって、うるさいねぇ、太郎。少し 隣のお婆さんの所に遊びにいってきなさい」
と言ったら、さぁ太郎は喜んで、よかったなぁと隣のおばあさんの所に行きました。

「隣のおばあさん、おばあさん、遊びにきたよ」
と言ったら
「あらあら太郎、よく来たね。まず、入ってきなさい、入っておいで」
と隣のおばあさんの声がしました。

太郎が入っていくと
「太郎が来るかと、待っていたんだよ、これを食べなさい」
と言って『だんご』をつくったのを食べさせました。
そうしたら太郎は
「うまい うまい」とムシャムシャ食べました。
「ぼくも家に行って、おばあさんから作って貰って食べる。なんていうものなの、隣のおばあさん」
と太郎が聞いたら
「『だんご』っていうものだよ、太郎」
って教えました。
 
全部だんごを食べ終わったものだから
「だんご、だんご」と、自分の家のおばあさんに作って貰って食べたいと思って、忘れないように言いながら出てきました。

 隣と自分の家の間に堰があって、
その堰をまたがないで、回り道をするのです、本当は。
早く家に行って、おばあさんにだんごを作って貰って食べようと思って
「だんご、だんご、だんご」
と言って来て、堰を飛び越すその時
「せんとこ」
と、かけ声をかけてしまいました。

それで今度は
「せんとこ、せんとこ」
と言いながら、家に入っていって、
「おばあさん、『せんとこ』と作って」
「何だって太郎。『せんとこ』ってなんだい?おばあさん、わからないよ」
「『せんとこ』だよ、おばあさん。隣のおばあさんが作って食べさせてくれたんだ、おいしかったよ」
と言いました。

三尺の四角い囲炉裏の上の、カギ縄につかまって、ぶらぶらしながら、大きな声で
「おばあさ〜ん『せんとこ』作って、食べさせてー」
とせがんでいるうちに、手が離れて、囲炉裏の向こうにいるおばあさんのおでこに「バシーン」とカネのカギがぶつかりま
した。
おばあさんは
「あらぁ、痛いよ、太郎。おでこにだんごみたいなこぶができちゃったよ」
と、言いました。

「あーあ、そうだそうだ!おばあさん、『だんご』だ!『だんご』だ!だんご、作ってちょうだい」
と、言いました。

山椒 食べたければ 山に行け
にんにく 食べたければ
 八木(増田のにんにくの産地)に行け
    トッピンパラリのプー


鈴木ジュン子さん

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