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東成瀬の昔っ子

弘法の祠

 むが〜しむがし。
  今から千年以上も昔の話。

  東成瀬村には「手倉越え」という、秋
田から岩手に行く峠道があってな。その
道は奥州街道と羽州街道を結ぶ道で、
奥羽山脈を越えていく山道だったんだ
 と。

  戦いの道として拓かれたのも、だん
だんには様々な人が行き来するように
なって、道標(みちしるべ)も出来てきて
、そこには道標のいわれや伝説が語ら
れるようになってきたんだど。

  手倉越えは、罪人を秋田から
岩手に追放する道にも使われてな
「首もげ地蔵」のところには、こんな伝説
があったど。

  首もげ地蔵は処刑場のそばにあっ
て、ある罪人が首を切られるときに、
地蔵様の前に座して念仏を唱えたら、
役人が切ったのは地蔵様の首だっけど
。そして、「左さ行けば手倉越えの道だ
し、右さ行けば岩井川さ行く道だ。
決して右さ行くなよ。
決して右さ行くなよ」
と何回も言いながら、役人は右の方を
指さすなだけど。
  罪人は何回も何回も頭を下げなが
ら、右の道を行くけど。

  「首もげ地蔵」を過ぎると「曲坂(まが
さか)」さ出る。
 ここには弘法の祠へ行く鳥居があった
ど。今は朽ちてしまったのもな。

  弘法様の伝説は、全国津々浦々に
あるのも、ここにも二つ三つあるんす。
  空海を影のように追う妙齢の美女お
園様がいた。ここの沢もお園様が越え
た所だそうな。
 「お園の越所」から「弘法の祠」までの
間には「弘法の足跡石」があってな。弘
法様はたいした大きい足の人だったな
って思うんす。
  やっと、「弘法の祠」さ着いた。五月
十五日がお祭りで、毎年地元の有志の
方々がお参りして、しばし、弘法様と遊
んでくるなだど。
  なして、ここさ弘法様が居るなだとい
うと、昔、水沢の亀屋五左衛門という人
が、湯沢の関口にある石屋さ弘法様作
らせて、水沢さ運ぼうとしたなだど。この
あたりで一服して、出発するべどて弘法
様を持ち上げようとしたば、なんとなん
と重くなって持ち上がらねけど。
 それで、しかたなくここさ祠作って奉っ
ていくことにしたなだっけど。
  実はな、去年の地震のとき、弘法様
も何んぼがおっかねがったんだが、祠
飛び出して木の根っこのどごさ居たけど

  弘法の祠を過ぎると「一杯清水」だ。
この道を通る人々の、のどを潤す大事
な清水だったべな。この水を飲んで、元
気を出して峠道を越えて行ったなだど
思うよ。

 とっぴんぱらりのプー

 

こちらは「仙北道」のみちしるべにそっ
た話です。
語尾以外はほとんど標準語なので、訳
はなくてもわかると思います。


なんぼが=どんなに
おっかねがったんだが
            =こわかったのか





「すいしょう」より

谷藤 広子さん

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