なのはじろうっこ
昔、なのはじろうっこというじさど、ば っぱどえだけど。 二人は柴切って町さ売りに行って暮ら してえだけど。 ある時、じさ、町さ柴売りに行ぐどて、橋 のたもとまで来たば 「なんだ、なのはじろうっこ 弱やなや」 というおど するおだけど。 なんだ、俺の名前言うおだ どて、橋の 下見だば、ネズミだ 相撲とりだけど。 痩せたネズミがとっては投げられとっ ては投げられしてるけど。 太いネズミが 「なのはじろうっこ 弱やなや」 とまだ言ったけど。 「んだべた、俺えには何も食うもの ね ぁおの」 と言ったけど。 それを聞いて 「これなば、町さ行って買ってきて 食へ ねね」 と言って、町さ行って、いっぺ買ってきて 、梁のうえさ あげでおいだけど。 よまになって、じさどばっぱど寝でだば 、ちゅちゅちゅちゅと食うおどするけど。 次の日、まだ山さ行って柴切って 町 さ売りにいぐどて、橋さ行ったば、 「なんだて、きょうの なのはじろうっこ つえなや」 と言うけど。したば、 「んだべた、おらえのじさ、町さ行って えっぺあ ごっつお 買って来てけだけ おん、それ食ってだ」 と言ったけど。 「晩げな、おらえさ みんな食いに来え」 と言ったけど。 じさ困って、わらわらど 町さ行って買 ってきて 梁のうえさ あげでおいだけ ど。まだ、じさとばっぱど寝でだば、あち から ちゅちゅちゅ、こちから ちゅちゅ ちゅとネズミが集まる音して、がやがや と食う音するけど。 朝がだになったば、なんだがガラガラ ていう音がして、じさえの前さきてドサッ ドサッとおぐおどするけど。 あさまになって、起ぎで見だば、じさえ の前さ米っこなんだが、味噌っこなんだ が、魚っこなんだがいっぺおいでえだっ けど。 正月くるどごでええ正月したけど。 とっぴんぱらりのぷー |
昔、“なのはじろう”というおじいさん と、おばあさんがいました。 二人は柴を切って町に売りに行って、 暮らしていました。ある時、おじいさんが 町に柴を売りに行こうとして、橋のたも とまで来たら 「なんだ、“なのはじろう”よ、弱いやつだ なぁ」 という音がしました。 なんだ、俺の名前を言ってるぞ、と思っ て橋の下を見たら、ネズミたちが相撲を とっていました。 痩せたネズミが、とっては投げられ、 また とっては投げられしていました。 太いネズミが 「“なのはじろう”よ 弱いなぁ」 と、また言いました。 「そりゃそうだよ、おいらの家には何も 食べるものが無いんだもの」 と言いました。 それを聞いたおじいさんは 「こんなことだったなら、町に行っていろ いろ買ってきて食べさせなくちゃ」 と、いっぱい買ってきて、梁の上に上げ ておきました。 夜になって、おじいさんとおばあさんが 寝ていると、チュチュチュチュと食べる 音がしました。 次の日、また山で柴を切って、町に売 りに行こうと橋にいくと 「いったいどうしたんだ、今日の“なのは じろう”はずいぶん強いじゃないか」 と太いネズミが言いました。すると 「そりゃそうさ、おいらの家のおじいさん が、町に行って、いっぱいごちそうを買 ってきてくれたんだ。それを食べたから だよ」と言って 「夜になったら、おいらの家にみんなで 食べにくるといいよ」 と言いました。 さあおじいさんは困って、大急ぎで町 に行ってごちそうを買ってきて、梁の上 に上げておきました。また、おじいさんと おばあさんが寝ていると、あっちからチ ュチュチュ、こっちからチュチュチュとネ ズミが集ってきて、ガヤガヤと食べる音 がしていました。 明け方になったら、なんだかガラガラ という音がして、おじいさんの家の前に 来てドサッドサッと置く音がしました。 朝になって起きてみたら、家の前に米 やら味噌やら魚やらたくさん置いてあり ました。 ちょうどお正月になるころだったので、 おじいさんとおばあさんは、とってもいい お正月を過ごすことができましたとさ。 とっぴんぱらりのぷー |
備前ムツさん
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