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秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字堤31-2
まるごと自然館
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東成瀬の昔っ子

すずめっことキツツキ

むがしむがし ずっと大むがしによ。

キツツギとすずめっこぁ きょうだい(姉
妹)だったけど。して、とでも仲えぐ暮ら
してだけど。

とごろがよー、姉のキツツギにぁ、
とでも困ったくせぁ あったけど。それど
言うのは、まずまずじまんこまげで、お
しれっこ、口べんこ、何回も塗ったり つ
けだり 長げぇ時間かげで 化粧するん
だもんだけど。

それさ比べで、妹のすずめっこどきたら
、まるっきり かまわねぇほうで、せえぜ
え おはぐろ つけるぐれぇだけど。
 
そうしているうぢに、二人の姉妹だ 
遠ぐの町さ 働ぎに行くごどに なった
けど。二人ながら、一生けんめい働い
だなで、みんなにめんこがられで、幸せ
に暮らしていだけど・・・。
 
そうしたある朝まのごどだけど。
二人して 髪っこ とがしていだば、
「いながのあば、急に病気になって
大変だがら、すぐ家さもどってけれ」
って、知らせが届いだけど。
二人ながら、腰ぬげるこら びっくりした
けど。
 
妹のすずめっこ、おはぐろ塗るどて 
口開けたじぎ、どでんした ひょうしに、
ほっぺたさ おはぐろ つけでしまった
けど。
んだのも、そんたなさ かまわねぇで、
そのまま飛んで 家のほうさ行ったけど


姉のキツツギぁ、あわでて飛んでいくど
ごろが、ますますおしれっこ てえねえ
に しけでえぐようにせば、
「ほほう、しばらぐ見ねぇでら うぢに、ま
んつ きれぇになったごど」
って ほめられるべ ど 思って化粧し
て行ったけど。

ほっぺたさ、おはぐろ しけたまま飛ん
で行ったすずめっこぁ、やっとあばの死
に目さ あうごと でげだけど。
あば すずめっこどご 見で、
「よぐ来てけだな、ありがど、ありがど」
って涙っこ流して喜んだけど。

姉のキツツギぁ おしれっこ塗るなさ手
間かげすぎで、家さついだじぎぁ、あば
死んでしまって、だみ 出したあどだけ
ど。

それを 天で見でいだ神様 言ったけど


「すずめこ すずめこ、おめぇ親思いの
子だがら、これがら人間の近ぐで住めるようにしてやる。
そうすれば、米っこもあまり なんぎしね
ぇで 食えるだろう」
と、言ったけど。
それですずめっこぁ 家の近ぐさ 
巣っこ作るようになったんだど・・。

姉のキツツギぁどごさ 神様、
「おめは 自分の化粧するごどばがり考
えで、たった一人の大事な親の死に目
にも あえねぇ親不孝者だがら、自分で
 餌 さがしぇばええ」
って、とでも ごしゃえで 言ったけど。
 
んだがら、キツツギの羽っこ きれいだ
ども、すずめっこみでえに家のそばで暮
らすごども でぎねえで、木さ つがまっ
て、トントントン口ばしで 木つづいで、
自分で餌さがさねぇば でげねぇぐなっ
たんだど。

すずめっこのほっぺたさ 丸いはん点っ
こ ついでるなよ、あれあ、あばさ会い
に行ぐじぎ、あまりあわででつけだ お
はぐろのアドなんだよ・・・。

        とっぴんぱらりのぷ〜
   昔々、ずーっと大昔のことです。

「キツツキ」と「すずめ」は姉妹でした。
そして、とっても仲良く暮らしていました


 ところが、姉の「キツツキ」には、
とても困ったよくない習慣がありました。
それというのは、たいそう見栄をはって
、おしろいや口紅を何回も塗ったりつけ
たりして、長い時間をかけて化粧するこ
とでした。

それに比べて、妹の「すずめ」のほうは
と言えば、まったく構わないほうで、
せいぜいおはぐろをつけるぐらいでした

 
そうしているうちに、二人の姉妹は
遠くの町に働きに行くことになりました。
二人とも、一生けんめい働いたので、
みんなに可愛がられて、しあわせに暮
らしていました・・・。
 
そうしたある朝のことでした。
二人で髪をとかしていたら
「田舎のお母さんが、急に病気になって
大変だから、すぐ家に戻ってください」
と、知らせが届きました。
二人とも腰がぬけるほどびっくりしまし
た。
 
妹の「スズメ」は、おはぐろを塗ろうとして口を開けたとき、驚いた拍子に 
頬におはぐろをつけてしまいました。
だけども、そんなことには かまわない
で、そのまま飛んで 家のほうに行きま
した。

姉の「キツツキ」は、あわてて飛んでいく
どころか、ますますおしろいを丁寧につ
けて行くようにすれば、
『ほほう、しばらく見ないでいるうちに、
ますます綺麗になったこと』
と、褒められるだろうと思って化粧して
行きました。

頬におはぐろをつけたまま飛んで行っ
た「スズメ」は、やっとお母さんの死に目
に会うことができました。
お母さんは「スズメ」を見て
『よく来てくれた、ありがとう、ありがとう』
と、涙を流して喜びました。

姉の「キツツキ」はおしろいを塗るのに
手間をかけすぎて、家に着いた時は、
お母さんは死んでしまって、葬式を出し
た後でした。

それを、天で見ていた神様は言いまし
た。

「スズメ スズメ、お前は親思いの子だ
から、これから人間の近くで住めるよう
にしてやる。
そうすれば、お米もあまり苦労しないで
食べられるだろう」
と言いました。
それで「スズメ」は、家の近くに、
巣を作るようになったのでした・・・。

姉の「キツツキ」には、神様は
『お前は、自分の化粧をすることばかり
考えて、たった一人の大事な親の死に
目にも会えない親不孝者だから、自分
で餌をさがせばいい』
と、とっても怒って言いました。

だから、「キツツキ」の羽はきれいだけ
ど、「スズメ」みたいに家のそばで暮らす
こともできないので、木につかまってトン
トントンと嘴で木をつついて、自分で餌
をさがさなければいけなくなったそうで
す。

「スズメ」の頬に、丸い斑点がついてい
るのは、あれは、お母さんに会いに行く
時、あまりあわてて付けたおはぐろの跡
なんだそうです。

 
   とっぴんぱらりのぷー

本間智佐子さん

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