東成瀬の昔っこ

すずめっことキツツキ

むがしむがし ずっと大むがしによ。

キツツギとすずめっこぁ きょうだい(姉
妹)だったけど。して、とでも仲えぐ暮らしてだけど。

とごろがよー、姉のキツツギにぁ、
とでも困ったくせぁーツ あったけど。
それど言うのは、まずまずじまんこまげで、
おしれっこ、口べんこ、何回も塗ったり つけだり 
長げぇ時間かげで 化粧するんだもんだけど。

それさ比べで、妹のすずめっこどきたら、
まるっきり かまわねぇほうで、
せえぜえ おはぐろつけるぐれぇだけど。
 
そうしているうぢに、二人の姉妹だ 
遠ぐの町さ 働ぎに行くごどに なったけど。
二人ながら、一生けんめい働いだなで、
みんなにめんこがられで、幸せに暮らしていだけど・・・。
 
そうしたある朝まのごどだけど。
二人して 髪っこ とがしていだば、
「いながのあば、急に病気になって
大変だがら、すぐ家さもどってけれ」
って、知らせが届いだけど。
二人ながら、腰ぬげるこら びっくりしたけど。
 
妹のすずめっこ、おはぐろ塗るどて 
口開けたじぎ、どでんしたひょうしに、
ほっぺたさ おはぐろ つけでしまったけど。
んだのも、そんたなさ かまわねぇで、
そのまま飛んで 家のほうさ行ったけど。

姉のキツツギぁ、あわでて飛んでいくどごろが、
ますますおしれっこ てえねえに しけでえぐようにせば、
「ほほう、しばらぐ見ねぇでら うぢに、ま
んつ きれぇになったごど」
って ほめられるべ ど 思って化粧して行ったけど。

ほっぺたさ、おはぐろ しけたまま飛んで行ったすずめ
っこぁ、
やっとあばの死に目さ あうごと でげだけど。
あば すずめっこどご 見で、
「よぐ来てけだな、ありがど、ありがど」
って涙っこ流して喜んだけど。

姉のキツツギぁ おしれっこ塗るなさ手間かげすぎで、
家さついだじぎぁ、あば死んでしまって、
だみ 出したあどだけど。

それを 天で見でいだ神様 言ったけど。

「すずめこ すずめこ、おめぇ親思いの子だがら、
これがら人間の近ぐで住めるようにしてやる。
そうすれば、米っこもあまり なんぎしねぇで 
食えるだろう」
と、言ったけど。それですずめっこぁ 家の近ぐさ 
巣っこ作るようになったんだど・・。

姉のキツツギぁどごさ 神様、
「おめは 自分の化粧するごどばがり考えで、
たった一人の大事な親の死に目にも あえねぇ
親不孝者だがら、自分で 餌 さがしぇばええ」
って、とでも ごしゃえで 言ったけど。
 
んだがら、キツツギの羽っこ きれいだども、
すずめっこみでえに家のそばで暮らすごども 
でぎねえで、木さ つがまって、トントントン口ばしで 木つづいで、自分で餌さがさねぇば 
でげねぇぐなったんだど。

すずめっこのほっぺたさ 丸いはん点っこ
ついでるなよ、
あれあ、あばさ会いに行ぐじぎ、
あまりあわででつけだ おはぐろのアドなんだどよ・・・。

        とっぴんぱらりのぷ〜
  昔々、ずーっと大昔のことです。

「キツツキ」と「すずめ」は姉妹でした。
そして、とっても仲良く暮らしていました。

 ところが、姉の「キツツキ」には、
とても困ったよくない習慣がありました。
それというのは、たいそう見栄をはって、
おしろいや口紅を何回も塗ったりつけたりして、
長い時間をかけて化粧することでした。

それに比べて、妹の「すずめ」のほうはと言えば、
まったく構わないほうで、
せいぜいおはぐろをつけるぐらいでした。
 
そうしているうちに、二人の姉妹は
遠くの町に働きに行くことになりました。
二人とも、一生けんめい働いたので、
みんなに可愛がられて、しあわせに暮らし
ていました・・・。
 
そうしたある朝のことでした。
二人で髪をとかしていたら
「田舎のお母さんが、急に病気になって
大変だから、すぐ家に戻ってください」
と、知らせが届きました。
二人とも腰がぬけるほどびっくりしました。
 
妹の「スズメ」は、おはぐろを塗ろうとして
口を開けたとき、驚いた拍子に 
頬におはぐろをつけてしまいました。
だけども、そんなことには かまわないで、
そのまま飛んで 家のほうに行きました。

姉の「キツツキ」は、あわてて飛んでいくどころか、
ますますおしろいを丁寧につけて行くようにすれば、
『ほほう、しばらく見ないでいるうちに、
ますます綺麗になったこと』
と、褒められるだろうと思って化粧して
行きました。

頬におはぐろをつけたまま飛んで行った「スズメ」は、
やっとお母さんの死に目に会うことができました。
お母さんは「スズメ」を見て
『よく来てくれた、ありがとう、ありがとう』と、
涙を流して喜びました。

姉の「キツツキ」はおしろいを塗るのに手間をかけすぎて、
家に着いた時は、お母さんは死んでしまって、
葬式を出した後でした。

 それを、天で見ていた神様は言いました。

『スズメ スズメ、お前は親思いの子だから、
これから人間の近くで住めるようにしてやる。
そうすれば、お米もあまり苦労しないで
食べられるだろう』
と言いました。
それで「スズメ」は、家の近くに、
巣を作るようになったのでした・・・。

姉の「キツツキ」には、神様は
『お前は、自分の化粧をすることばかり考えて、
たった一人の大事な親の死に目にも会えない
親不孝者だから、自分で餌をさがせばいい』
と、とっても怒って言いました。

だから、「キツツキ」の羽はきれいだけど、
「スズメ」みたいに家のそばで暮らすことも
できないので、木につかまってトントントンと嘴で
木をつついて、自分で餌をさがさなければ
いけなくなったそうです。

「スズメ」の頬に丸い斑点がついているのは、
あれは、お母さんに会いに行く時、
あまりあわてて付けたおはぐろの跡なんだそうです。

 
   とっぴんぱらりのぷー

本間智佐子さん

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