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〒019-0803
秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字堤31-2
まるごと自然館
TEL:0182-47-2362

東成瀬の昔っ子

ちょうじん子 おまん子

 昔々、あるどころによ、「ちょうじん子」と「おまん子」ていう腹違いの子ども、えだなだけど。

 先のあばは死んでしまって、後からもらった継母の子どもは「おまん子」だっけど。たいがい腹違えの子どもは仲悪がったんだども、このきょうだいだげはま んじー仲えけど。したばな、おどいる所では、このあばちょうじん子どご、めんこいふりはしてえだども、おどいねぐなれば、いじめでばぁりいるなだけど。
して、なじがしてちょうじん子どごいらねして、なじがして殺しでおだと思ってたけど。
 
 ある時、おどぁ
 「上方まいりさ行ってくるがら、このわらしだどご、えぐ見ででけろな、あば」
「ああえ、え、行ってこえ、えってこえ」
そう言われで、おどまだ、上方さ行ったけど。。

 それがら、ある日
「なじがして、このちょうじん子どこなば、いらね。殺してしまいでおだ」
どて隣の家さ相談に行ったけど。
それ見て、おまん子、きっとじんじょとでぉ、あばそうしていくのはいい事でなぇっどて思って、後ついていったけど。して聞いてらけど。
「やあやあ、おれ、ちょうじん子どごなば、あのくされわらしなば、えらね。なじがして殺してしまいで。なんじせば、えがべや」って
「それなば、握りママさ、毒でも入れでかせで、死なせればいいんだ」
とそう云ったけど。

 おまん子、ワラワラどあばより先になってきて
「アネアネ、明日よアネどごさ、握りママさ毒入れてかせるていうへで、食ったてでぎねど」
したば、次の朝まになったば
「んがだ、山さ遊びにいってこえ、握りママにぎってけるへで」
あばそう云ったけど。して、片っぽは毒入れて、片っぽは普通のうめぇ握りママど、二つにぎってけだけど。
で、それたげで二人山さ行ったけど。昼間になったどて、
「アネアネ、そのママなば毒入ってるがら、ぜったい食ったて、でげね。それ、そっちさ投げて、おれなのママ食ってくこだ」
 二人して、そのママ食って、毒入ったママば投げで、元気で家さ夜あがりしてたけど。

「今、来た」
って云ったば、死んでくるど思ったちょうじん子まだ、ピンピンして来たなで、あばどでんして
「ママ食ってきたてが」
「うん、みんな食ってきた」ってそう云ったけど。

おがしなって、まだ次の日、隣の家さ、相談にいたけど。したば、まだおまん子ついでたけど。
「握りママさ毒なの入れだって、しぶてしてよ、なんともねぇおだっけ。なんじしたらえがべ」
「んだば、晩げ寝でらなの上さ、はのえがら石落として、つぶしたほええんだ」

さあ、おまん子、どでんしてワラワラど走ってきて、
「アネアネ、今日の晩、アナどごよ、はのえの上から石落どして殺すて云ってるんて、おれなの布団さひとじ寝るこだ。アネなの布団さば、ボンボラ入れて置ぐこだ」
そういったけど。
「んだか、んだが」
おまん子なの寝床さひとじなって寝て、ちょうじん子なの布団さ、大っきいボンボラ入れでおいだけど。モリッといかにも寝でらよにして置いたけど。

夜中になたば、ドシッドシッドシって音するけど。したば、あばダーイッ石たないで、はのえさ上がる音したけど。して、ちょうじん子なの布団の上さ、ド ドォーンって落どしてよこしたけど。したば、ボンボラ、ベジャラッて、つぶれでよ、はのえさいるあばのナジギやツラさ、中身ボンボラのわた、ベジャッとは ねでったけど。ゴエッとこすて、今度は腹わた破れできた。こりゃ、死んだな。勝負したどて。

次の朝ま、
「ちょうじん子、おまん子、朝間になったへで、早く起きてママけ」
って言ったば
「はーい」って二人そろって起きてきたけど。
さあ、どでんして
「ああやんめして、つぶしたって、なんじで生ぎでらべ」
どて、寝床さいって見たば、ちょうじん子なの布団の中さ、ぼんぼらベジャッとつぶれであるなだけど。

これでぁでぎねって、まだ、次の日隣さ相談さ行ったけど。
「どごでわがるおだが、そえめにされだっけ、なんじしたら、えがべ」
「んだごたばよ、山さでお、ちでて、箱さ入れで埋めでこえば、えんだ」
さあ、おまん子どでんして走ってきて
「アネアネ、アネどごよ、明日箱コさ入れでよ、ずっと山の埋めえ行くて云うへんて、デグどさ、箱コこへるじぎよ、手コむぐるぐれの穴コこへでもらえな、アネ」
って云うたけど。
したば、次の日やっぱりデグどご、頼んできたけど。
それで、箱こしゃしてらどぎ、ちょうじん子
「デグどの、デグどの、なんとがしゃ、その箱コの中さ、おれなの手コひとつむぐるころの穴コ、開げでけにゃが」
「これぐりゃの穴コでえが」
穴コ一つ開けだけど。
そしたば、それの中さちょうじん子どご入れで、したば、知らねうぢ、おまん子木の枝コえっぺぇ折ってきて
「アネアネ、行く途中この穴コがら、柴コ落としてげな、アネ。しぇば、おれ明日探しに行くがらな。ポチポチ所々落どしてげな。アネ」
「わがった、わがった」
そういって、次の日、へられで山さ、かぢでいがれだっけど。

一山二山三山越えって、そしていくうち、ちょうじん子まだ、おまん子に言われだ通りに、その穴コがら一本ずつ、柴コ落どしてたけど。
そして、ズーッと山奥さ行ったば
「ここでえんだな」っていうなで、そこで土ボリボリボリッど掘って、そして埋めでしまったけど、その箱。

こんだ、その人だち家さ戻ってきたべし、おまん子、次の日
「あば、おれ、遊山さ行ぎへで、おれどさごっつこへでけねが」
「ええ、こんだおめ一人だえ、なんでも好きなものえっぺえ、こしゃでけるへで、えったてえ」
そう云ったけど。

で、ごっつお、えっぺこしゃでもらって次の日、その柴コ頼りに、おまん子行ったけど。
ずっと山奥山奥さ、一山二山三山越えで山奥までいったば、柴コプツンと、あどそごから、切れでねがっけど。よぐ見だば、今掘ったよだ土の跡コあるけど。ああ、ここにいだんだなど思って
「アネーっ、アネーっ」って叫んだば
「おまん子だがー、おれ、こごにいだぁ」って云うけど。

おまん子、ボリボリと手で、掘ったたて痛くてだば、そこさ、白髪のじさま出はてきたけど。
「おめのやさしい気持ちもわがるがら、おれ、掘ってしけるへで、びゃっこ待で」って云って、白髪のじさま穴掘ってけだけど。
そこがら箱コ出はてきて、アネ出てきたけど。「アネー助かってえがったなぁ」って二人して抱き合って喜んだけど。して、白髪のじさまど、三人で、あばこがら作ってもらったごっつおみんな食ったけど。
「おれもごつうおなったし、んだのもな、家さ戻ったたて、なんぼしたてえぐなの暮らされねんだがら、山の下さ行けば、長者の家で、メラシコ二人ほしいって書えでら家あるがら、そごさ行って頼んでの」
って云われで、二人で下りいったけど、やっぱり長者殿の家でメラシコ二人ほしいって、看板たででらけど。そごさお願いして使ってもらうごどにしたっけど。


上方がらおど、戻ってきたけど。
「今 戻ったど、わらしだ、なんじしてら」
おみやげいっぺ手さたげで、来たけど。
「あのわらしたちなの、二人ながら何処さいったんだが、おれどごばりおいで、ぎりっと家さ、戻ってこね」
って、あばまだそう云ったけど。

おどまだ、泣いて泣いてめごいわらしたちに二人出てがれで、やじねくてやじねくて、泣いで泣いで泣いだうぢに座頭になってしまったけど。泣いで泣いで
そのわらしたちどご探しに、鈴コ一つたげで探しに行ったけど。 
「 天にも地にも かえられねぇ
ちょうじん子 おまん子 何処さえった
ちょうじん子 おまん子 居たならば、
音せえ ちょうじん子
便りせ おまん子  カランカラン       」

カランカランって鳴らしていったけど。
みすぼらしい乞食みでになって、めくらだべし
そして行ったけど。
そして、ずーっと何日も何日もほして歩いて行ったけど。
ある屋敷のそばまで 行ったけど。そごで、

「 天にも地にも かえられねぇ
ちょうじん子 おまん子 何処さえった
ちょうじん子 おまん子 居たならば、
便りせ ちょうじん子
音せえ おまん子  カランカラン  」

鳴らしてだけど。

そしたば、そごの中で働いでだ、ちょうじん子どおまん子、
「あら、アネアネ、なんだがあっこさ、みすぼらしい乞食みでだなえだたって、なんだが、よく見ればしゃ、おらえのおどみでねえが」
二人して見たば、格好は変わったども、確かにわえのおどだど思ったけど。
「おどでねがー」って、そういったば
「ちょうじん子どおまん子だがー」
「んだぁ」
って云うので、三人して抱き合ってよ、泣いて泣いて今までの事を話し合ったけど。

それで、んだばしぇ、これからは、なんじもならねし、おどもここで使ってもらえるようにしてえるこだって、そごさ頼んだば、えだてえってゆうっけど。そして喜んで泣いてらば、今まで見えなぐなってだマナグ、バチっと開いて、おど、マナグ見えるようになったけど。
そして、三人そごで幸せに暮らしたけど。


トッピンパラリノプー

   昔々、あるところに「ちょうじん子」と「おまん子」という腹違いの姉妹がいました。

 先の母は死んでしまって、後妻の継母の娘は「おまん子」でした。腹違いの姉妹というのは仲が悪いものですが、この姉妹はたいそうな仲が良かったのです。
けれど、この継母は、父親の居る前ではちょうじん子を可愛がっているふりをしていましたが、居ない所では、いじめてばかりいました。そして、どうにかして、いらないから殺してしまいたいと思っていました。

ある時、父親は
「上方参りに行ってくるから、この子ども達の世話を頼んだよ、継母さん」
「ええ、わかりました。世話は任せていってらっしゃい、いってらっしゃい」
そう言われて、父親はでかけました。。

 それから数日して
「どうにかして、このちょうじん子は置きたくないから、殺してしまいたい」
と、隣の家に相談に行きました。
それを見ていたおまん子は、おそらく母が相談に行くのは良いことでないだろうと、そっと後をつけました。そして、聞いていました。
「ねえねえ、私はちょうじん子なんか、あのばかな娘なんかいらないんだ。どうにかして殺したいんだが、どうすればいいかね」と
「それなら、おにぎりに毒でも入れて、殺せばいいじゃないか」
と、そう教えました。

 それを聞いたおまん子は急いで、母より先に帰って
「姉さん姉さん、明日、姉さんを、おにぎりに毒を入れて食べさせるというから、食べちゃいけないよ」
 すると、次の朝
「おまえたち、山に遊びに行っておいで。おにぎりをすくってやるから」
と、継母がそう言いました。そして、片方には毒を入れて、片方は普通のおいしいおにぎりと、ふたつ握ってくれました。それを持って二人で山に行きました。昼になったので
「姉さん姉さん、そのおにぎりは毒が入っているから、絶対食べてはいけない。それはそこに捨てて、私のおにぎりを食べることにしよう」
 二人でおいしい方のおにぎりを食べて、毒の入ったおにぎりは捨てて、元気に、夕方家に帰りました。

「ただいま」
と言ったら、死んでくるはずのちょうじん子がピンピンして戻ったので、継母は驚いて
「おにぎりを食べたかい」
「ええ、みんな食べてきましたよ」と言いました。

 変だなぁと思って、また次の日、隣の家に相談に行きました。すると、またおまん子が後をつけました。
「おにぎりに毒を入れたって、しぶとくてね、なんともなかったよ。どうすればいいんだろう」
「それなら、夜寝ている上に 梁の上から石を落として、つぶしてしまえばいいんだ」

 おまん子は驚いて急いで走ってきて
「姉さん姉さん、今晩、 梁の上から石を落として殺すと言っているから、私の布団に一緒に寝ましょう。姉さんの布団には、カボチャを入れておきましょう」
そう言いました。
「わかった、わかった」
 おまん子の布団に一緒に寝て、ちょうじん子の布団に大きなカボチャを入れておきました。コンモリと、いかにも人が寝ているようにして。

 夜中になったら、ドシドシという音がしました。すると、継母が大きな石を持って、梁の上に登っていくでした。そして、ちょうじん子の真上にドドォーんと 落としました。すると中に置いたカボチャが潰れて、梁の上にいる継母の額や顔にカボチャの中身のワタが飛んできました。継母は顔をこすって、腹わたが飛ん できたとから、死んだと思いました。勝ったって。

 次の朝
「ちょうじん子、おまん子朝になったから、早く起きてご飯を食べなさい」
と言ったら
「はーい」と、二人揃って起きてきたではありませんか。
さあ、驚いて
「あんなふうにしてつぶしたのに、どうして生きて居るんだ」
と、寝床に行って見ると、ちょうじん子の布団の中にはカボチャがつぶれていました。

 さあ、これじゃダメだと、また次の日、隣の家に相談に行きました。
「どうしてわかるのか、そういうふうにされたんだ。どうしたらいいんだろう」
「それなら、箱に入れて、山にでも埋めてしまえばいいんだ」
 また、おまん子はびっくりして走ってきて
「姉さん姉さん、姉さんを明日箱に入れてずっと山奥に埋めると言うから、大工に、箱を作るとき、手が通るぐらいの穴を作ってもらって、姉さん」
と、言いました。
 次の日案の定継母は、大工を頼んできました。
それで、箱を作っている時
「大工さん、大工さん、なんとか、その箱の中に私の手が一つ通るくらい小さくていいので、穴を開けてもらえませんか」
「これぐらいの穴でいいかい」
と言って、穴を一つ開けてくれました。
そして、継母はその箱にちょうじん子を入れました。
すると、わからないうちに、おまん子が木の小枝をたくさん集めてきて
「姉さん姉さん、連れて行かれる途中、この穴から小枝を落としていって下さい。そうすれば、私が明日探しに行くから。ポツポツと所々落としてって、姉さん」
「いいよ、いいよ」
そうして、次の日入れられて、山に担がれて連れていかれました。

 いくつも山を越えて連れて行かれるうち、ちょうじん子は、おまん子に言われた通り、穴から一本ずつ柴を落としていきました。
ずーっと山奥に行ったら、「ここでいいだろう」と土を掘って、その箱を埋めました。

 さあ、埋めに行った人達が家に戻ってきたのを確かめたおまん子は、次の日
「母さん、私、山に遊びに行きたいから、御馳走を作ってくれませんか」
「ああ、いいよいいよ。今度こそお前一人になったから、なんでも好きな物をつくってあげるよ。いっておいで」
そう言いました。

 そして、御馳走をたくさん作ってもらって、その小枝を頼りにして、おまん子は出かけました。
ずーっといくつも山を越えて、山奥のそのまた奥に行ったら、小枝がプツンととぎれて無くなっていました。よく見ると、掘ったばかりの土の跡があります。ああ、このあたりだなと思って
「姉さーん、姉さーん!」と叫ぶと
「おまん子かいー、私はここにいるよー」と云う声。

 おまん子は早く助けたくて素手で掘りましたが、痛くて難儀していると、そこに白髪の爺様が現れました。
「お前のやさしい心はよくわかった。私が掘ってやるから、少し待ちなさい」と言って、その爺様が掘ってくれました。
 そこから箱が出てきて、その中に姉さんがいました。
「姉さん、助かってよかったねぇ」と二人は抱き合って喜びました。そして、白髪の爺様と三人で、継母が作ってくれた御馳走を全部食べました。
「私も御馳走になってな。けれど、家に戻っても、どうしても幸せには暮らせないだろうから、山の麓の長者の家で、下働きを二人ほしいと書いてあるから、そこに行って頼んでみなさい」
と言われて、二人で山を下りていったら、やはり長者の家で下働きを二人ほしいと、看板を立てていました。
そこで、お願いして使って貰うことになりました。


 その頃家では、上方から父親が帰ってきました。
「今、帰ったよ。こどもたちはどうしている」
と、おみやげを一杯手に持って、帰ってきました。
「あの子たちは、二人とも何処にいったのか、わたしだけおいて、まったく家に戻ってこないよ」
と、継母が言いました。

 父親は、泣いて悲しんで、可愛い二人の娘達に出て行かれて、可哀想で残念で泣いているうちに、眼が見えなくなってしまいました。泣きながら、その娘達を探そうと、たった一つ鈴を持って家をでました。

「天にも地にも変えられない、(可愛いむすめたちよ)
 ちょうじん子とおまん子が何処に行ってしまったんだ
 ちょうじん子とおまん子よ、どこかにいるのなら
 声を聞かせてくれ ちょうじん子
 便りをおくれ おまん子 よ               」

 鈴をカランコロンと鳴らして、あちこちを歩きました。
みすぼらしい格好で、眼も見えないのに、それでも探し歩きました。
そうして、ずーっと何日もなんにちも歩いて、あるお屋敷のそばまで行って、そこでも

「 天にも地にも かえられねぇ
ちょうじん子 おまん子 何処さえった
ちょうじん子 おまん子 居たならば、
便りせ ちょうじん子
音せえ おまん子  カランカラン  」


と、鳴らしていました。

すると、そのお屋敷の中で働いていた、ちょうじん子とおまん子は
「姉さん姉さん、なんだかあそこにみすぼらしい格好の人がいるけど、よく見ると、私たちの父さんのようじゃないですか」
二人で見てみると、格好はみすぼらしく変わっていますが、確かに自分たちの父親だと思いました。
「父さんーっ」と、そう声をかけると
「ちょうじん子とおまん子かぁーっ」
「そうですー」
と確かめ合って、三人で抱き合って、泣きながら、今までのことを話し合いました。

それで、三人出会ったけれど、家に帰ってもどうしようもないので、このお屋敷で使ってもらって、ここにいることができればいいのだがとお願いすると、居 ても良いというのでした。よかったと喜んで泣いていると、今まで見えなかった父親の眼が開いて、見えるようになりました。
そして、三人はそこで幸せに暮らしました。


トッピンパラリノプー


本間 智佐子さん

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