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秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字堤31-2
まるごと自然館
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東成瀬の昔っ子

年寄りの知恵

 昔、あるどこさ  貧乏な殿様が居だ
けど。
 働げねぇ者は  六十二才になったら、
山さ連れでって、 木の枝さ  はさんで
捨てでくるごどを義務付けられで えだけ
ど。
 
 そごである日、殿様の家来が 自分
のあばが六十二才になったなで、捨て
でこねぇば ならねぐなったど。
 殿様に おごられねぇうぢと思って、よ
んま うめもんかしぇで、朝ま早ぐ あば
どご しょって山さ 出がげだけど。
 
 そうして、途中まで行ぐど あばは木
の枝をポクッポクッと 折りはぢめだど。
 「なんで折るなだ」
 って聞いだば
 「おめが 帰りに道さ迷わねで、無事
にえさ戻れるべ」
 と言ったけど。
 
 息子は、あばのやさしい心に驚き、と
ても捨てて帰ることがでぎねぇで、また、
人目をさげで あばを背負い 家さもど
ってきだど。
 息子はあばを奥の部屋にかぐして、
暮らしてえだけど。
 
 殿様が家来を集め、知恵くらべをやっ
たけど。
 問題の一つ目は、曲がった穴のあい
た玉に 糸をとおす事だけど。
 息子はあばさ聞いで、出口さ砂糖ッコ
ぬって、蟻コの脚さ 糸コつねぇで 穴さ
いれてやったど。糸はみごとにとおった
けど。
 
 二つ目は灰で縄をなってこえ、という
事だけど。
 それで、まだ、あばさたずねだば、あ
ばはまず縄をなって、それをぬらして、
塩をまぶして焼ぎ、そのまま、そっくり持
ってえげ、と聞がせでけだけど。
 
 殿様の家来だった息子は、二つとも
見事に合格し、殿様にほめられ、この
知恵をだれがら学んだ、と聞かれだけ
ど。
 息子は、あばを捨てにいったごど。あ
ばをかぐして暮らしてだごどをみな話し
、あばから聞いだ、と話したど。

 それがら、殿様は年寄りを捨てるごど
をやめだど。
 あばを助けだ息子はみんなにほめら
れだんだど。


       とっぴんぱらりのぷ〜
   昔、あるところに貧乏な殿様がいま
した。
 働けない者は六十二才になったら、山
に連れていって、木の枝にはさんで、捨
てて来ることを義務付けられていました

 
 そこである日、殿様の家来が、自分の
母が六十二才になったので、捨ててこ
なければいけなくなりました。
 殿様に叱られないうちに、夜においし
いものを食べさせて、朝早く母を背負っ
て山に出かけました。
 
 そして、途中まで行くと 母は木の枝
をポクッポクッと、折り始めました。
 「どうして折るの」
 と聞いたら
 「おまえが帰りにみちに迷わないで、
無事に家に戻れるようにだよ」
 言いました。
 
 息子は、母のやさしい心に驚いて、と
ても捨てて帰ることができないで、また
人目を避けて母を背負って家に帰って
きました。
 息子は母を奥の部屋に隠して、暮らし
ていました。
 
 殿様が家来を集めて、知恵くらべをや
りました。
 問題の一つ目は、曲がった穴の開い
た玉に糸を通す事でした。
 息子は母に聞いて、出口に砂糖をぬ
って、蟻の脚に糸をつないで、穴に入れ
てやりました。糸は見事に通りました。
 
 二つ目は 灰で縄をなってこい、という
ことでした。
 それでまた、母にたずねたら、母はま
ず縄をなって、それを濡らして、塩をま
ぶして燃やして、そのままそっくり持って
いきなさいと教えてくれました。
 
 殿様の家来だった息子は、二つとも
見事に合格して、殿様に誉められて、こ
の知恵をだれから学んだと尋ねられま
した。
 息子は母を捨てに行ったこと、母を隠
して暮らしていたことをみんな話して、母
から教えてもらったと話しました。

 それから、殿様はお年寄りを捨てるこ
とをやめました。
 母を助けた息子はみんなにほめられ
たそうです。
 


      とっぴんぱらりのぷー

福地タケ子さん

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