コンテンツメニュー仙北街道東成瀬の生物東成瀬の民話イベント情報リンク
掲示板
〒019-0803
秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字堤31-2
まるごと自然館
TEL:0182-47-2362

東成瀬の昔っ子

鶴と亀

 昔な、長者どので長男さ嫁コとるど
ごだけど。

  その長者どのの家、おやがだしゅで
なんとなんと屋敷も広いし、ゆきも大き
いし、えの中も広い家で、床の間さ鶴と
亀と、高砂のじんじどばんばど飾って、
大ーきい膳コズラーッと並べで、近所の
人だちどこ親戚の人らち、いーッぺ集
めで、おふるめやったけど。
 そのごっつおも、いいごっつおで、飲
めや唄えや踊れやで、ワンワって騒い
だのも、あまりいっぺごっつおになった
なで、皆、夜あがりしてしまったけど。

  したば、床の間の前さ、嫁コど婿ど
並んでらけど。
昔なば、来るまで、嫁コどご、見だごど
無がったんだど。それで、婿な「おれど
さ来てけだアネコ、なんぼええアネコだ
べ」どて、綿帽子の中、そうーっとこうし
て見だっけど。したば、なん〜ぼメンコ
イ、ええアネコだけど。

  そのアネコどごな
「あら、アネコ、アネコ、誰もいねぐなっ
たなんて、おれほさ、びゃっこ寄って
こえ」
 したば、アネコ
 「んだたて、おら、わりくて」
 「なんも、わりごどにゃ。誰もいねへん
て、びゃっこ寄ってこえ」
 って言ったば、ツコツコっとびゃっこ寄
ったのも、
 「んだのも・・」
 「ほんただに、わりごどねぇ。誰もいね
ふんて、寄ってこえ」
 わりふて、わりふてって言いながら、
ツコツコ寄ってくるけど。婿もツコツコ
寄ってたけど。
 「何もわりごどね。誰もいねぇ」
って、ピターッと、二人くっついてしまっ
たけど。

  それを見でだ、高砂のじじいまだ、
はぎガダリ置いで
「ばさまばさま、まじ見れ。若げ人だち、
えーおだな。ピターッと、くっちでらおだ。
おらもくっついでみるべし、
ばさま、来え、こっちさ寄って来え」
 「まんじ、おらえのじさま、馬鹿でねべ
が。なんえ、そんただごど言って、まん
ず、なんぼになるどて」
 と、ばさま、そう言ったけど。

 したども、
 「わりしべ知らね年だべでぇ、
寄ってこえ」
 と、言ったけど、じさま。
 したば、ばさま、
 「なんだたて、なんぼになるどて、そん
ただ事言う」
んだのも、ばさま、ツコツコ寄ってって、
ピターっとじさまど、くっちだけど。じさま
も見れば、ピターっとくちでらけど。


  それを見でだぁ、鶴なぁ
 「あーあ、夫婦っていいおだな〜。
おらも嫁ッコ欲しおだな。亀、亀。
おれどさ、嫁コにならねが」
 って、ほう言ったけど。
 したば、亀、首振ってな
 「だめだ、だめだ」って。
 「なしてよ、おれなのクチパシ長げくてが」
 「そんただごどで、ねえ」
 「んだら、なしてよ。首長げくてが」
って言ったば、
 「そんただごどで、ねえ」
 「んだば、おれの足長げくてが」
 「そんただごどで、ねえ」

 「んだら、なしておれの鶴の嫁になる
な、だめだなよ」
 そしたば
 「おめどこ、嫌いで嫁に行がねなでね
え。鶴は千年、亀は万年だば、おれ、
九千年も家で独りで暮らさねねと
思えば、それでやだって言ったなだ」
 と、言ったど。

 「なるほど、んだが」

 「んだのもな、鶴。何かおめでて事
あれば、いっつ も、おれとおめなば
一緒だべ。それで、えなでねえがなぁ」
 って言ったけど。


トッピンパラリノプー

   昔、長者の家で長男に嫁をもらうと
ころでした。
 
  その長者の家は、お金持ちで屋敷も
家も大きく、家の中も広いうちで、床の
間に鶴と亀と、高砂の老爺と老婆を飾
っていました。大きいお膳をたくさん並
べて、近所や親戚の人をたくさん集めて
お祝いをしました。
 そのごちそうも高価なごちそうで、飲
んで歌って踊って大騒ぎしましたが、あ
んまりたくさんごちそうになったので、皆
、夜には帰って行きました。
 

   そうして、床の間の前に嫁と婿が
並んでいました。
 昔は嫁に来るまで会ったことがなかっ
たので、婿は 「自分に嫁いでくれた娘
は、どれくらい可愛い娘なんだろう」と思
って、綿帽子の中をそーっとのぞいてみ
ました。すると、それはそれは可愛い娘
でした。

  その娘に
 「娘、娘、だあれもいなくなったんだか
ら、おれの方に少し寄っておいで」
 すると、娘は
 「だけど、私、恥ずかしくて」
 「なにも恥ずかしいことはないよ。
誰もいないから、少し寄っておいで」
 と婿が言うと、チョコチョコと少し寄りま
したが
 「だけど・・」
 「そんなに恥ずかしがることはないよ。
誰もいないから、寄っておいで」
 恥ずかしくて、恥ずかしくて・・と言いな
がら、チョコチョコ寄ってきました。婿も
チョコチョコ寄っていきました。
 「何も恥ずかしいことないよ。誰もいな
いし」
 といって、ピターっと二人はくっついて
しまいました。

  それを見ていた高砂の爺様は、
ほうきをガダリと置いて、
 「婆様、婆様、まあ見てごらん。若い
人たちはいいもんだなぁ・・ピターっと
くっついているよ。私たちもくっついて
みよう、婆様おいで、こっちに寄って
おいで」
 「おやまあ、うちの爺様、馬鹿じゃない
かい。何、そんなことを言って。何歳に
なるんだい」
 と、婆様がそう言いました。
 けれども、
「恥ずかしいなんて言う年じゃないだろ、
寄っておいで」
 と、爺様は言いました。
 すると、婆様は
 「なにを言ってるの、何歳のつもりで
そんな事を言うの」
 だけれど、婆様、チョコチョコ寄って
いって、ピターっと爺様に、くっつき
ました。爺様も、見てみればピターっと
くっついていました。

  それを見ていた鶴は
 「あーあ、夫婦っていいもんだなぁ。
私もお嫁さんが欲しいもんだ。亀さん、
亀さん、私の嫁にならないかい」
 と、そう言いました。
 すると、亀は首を振って
 「だめです、だめです」と言いました。
 「どうしてだい?私の嘴が長いから
かい?」
 「そんな事じゃ、ありません」
 「それなら、どうして?首が長いからか
い?」と言ったら、
 「そんな事じゃ、ありません」
 「それじゃ、私の足が長いから
かい?」

 「それなら、どうして私の鶴の嫁になり
たくないのかい」
 すると
 「あなたが嫌いで嫁にならないんじゃ
ありません。鶴は千年・亀は万年と
いえば、私は九千年も家に独りで暮ら
すのかと思って、嫌だといったんです」
 と、言いました。

  すると、鶴は
 「なるほど、そうだったのか」
 でも、亀は
 「でもね、鶴さん。お目出度いことが
あれば、いつも私とあなたは一緒でしょ
う。それでいいではないですか」
 と言いました。

トッピンパラリノプー

備前ムツさん

戻る


Copyright(C) 2005.まるごと自然館 marugoto.higashinaruse.com Allrights reserved.
当サイト各ページの記事・写真の改ざん及び無断転載を禁じます。